チャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルト

チャイコン。 12歳の女の子が取り組んでいます。

チャイコフスキーが作曲した当初は酷評だらけ、当時偉大だったヴァイオリニストのレオポルト・アウアーは「演奏不可能」と言い放ち、音楽批評家の大長老ハンスリックは「悪臭を放つ音楽」とまで言われた曲も今では4大ヴァイオリンコンチェルトと言われるまでの大人気曲です。(作曲当初は酷評で、のちにその価値が認められる作品は音楽の世界でも絵画の世界でも珍しくはないですね)

さて、そんな大曲も今や小学生でもスイスイ?弾く時代です。すごいです。

本当はヴァイオリンコンチェルトを勉強していくのに順序らしきものはあり、だいたいそれに沿って勉強していくのですが、基礎的な能力が高くセンスも良い子は逆に音楽的な内容が掴みやすいものからやるというのも一つの考え方かなと思います。チャイコフスキーはとてもいろんな技術が盛り込まれており派手な演出がなされてますが、ロシア民謡的な要素が日本人の民謡的ベースに合うのか、歌う、という意味では理解しやすいのかなと思います。もちろんもっと奥深い部分では経験、年月を経ないと深みは出てこないものですが、それにしても昨年の毎コン全国大会1位の小4の女の子、それすらも凌駕する演奏でした。

話は逸れましたが、、この大曲を低年齢で弾ける子達はたくさんいる中で、やっぱりヴァイオリンを弾くのはそう簡単ではないという事です。あまり若い年齢で弾けるから良いというものでもなく、とにかく“弾けたつもり”になって、いろんな経験をして、様々な感情や曲の持っているエネルギーを感じとり、引出しに詰め込んでいく事が1番大事な事なのだと思います。どうしてもプロになりたい、コンクールで結果を出したいとなるとまた熟成を速めるという別のアプローチが必要になると思いますが、基本的には変わりません。引出しにしまい、自分の中で吸収、熟成、消化させ、そして自分の言葉でアウトプット。です。

「Kes」(少年と鷹)

ふとケーブルのチャンネルを回すと、ケン・ローチ監督のイギリス映画(1969年)がこれから始まるところ。監督は役者の本当の感情を忠実に表現する事にこだわり、出演者のほとんどを素人から選んだという解説だけは耳に入り、観ることに。言葉では語れない、なんとも言えない素晴らしい映画でした。炭鉱町に暮らす貧しい家庭環境、父は蒸発、仲の良くない意地の悪い兄、朝6時から新聞配達をしてから学校に行く、体操服も買ってもらえずクラスメイトからはバカにされ教師からもいじめられる。そんな少年がある日森の中で鷹のヒナを見つけ育てる…というような話なのだが、少年と鷹の暖かいふれあい物語なんていうものではない。とても繊細な少年の心の機微を語ることなく映像にしている。「大人は子供に無関心すぎる、だから子供も無関心になるのだ」と最後の方で語る少年、そしてラストはバッサリ。何かを深く考えさせるような映画は、ハリウッドにはないヨーロッパ映画独特のものですね。おススメです。